Pick up★ ARIMA社のAPC内臓レーザーダイオードとは

【APC(Automatic Power Control:自動光出力制御)】

レーザーダイオードの安定化技術として広く用いられている「APC(Automatic Power Control:自動光出力制御)」は、産業用光源の信頼性を支える重要な基盤技術です。ARIMA社のレーザーダイオード製品は、レーザーパッケージ内部にAPC機能を備えたBuilt-in APC」を特徴のひとつとしており、その技術と利点を少し掘り下げて読み解いてみたいと思います。上部青文字の製品リンクページと併せてご覧ください。


1. APCとは何か — ARIMAが採用する自動光出力制御の仕組み

レーザーダイオードは、温度上昇や駆動電流の僅かな変動によって光出力が大きく変わるという性質を持ちます。 光源として利用する際に、これらの変動を放置すれば、計測精度の悪化、表示ムラ、SN比低下などの問題を引き起こします。

ARIMAが採用するAPCは、レーザーに内蔵されたモニタフォトダイオード(PD)で出力光を検出し、その信号を用いて出力を一定値にフィードバック制御する仕組みとなっています。ARIMA社の製品仕様として

  • Built-in Photodiode(内蔵PD)による出力監視
  • 内蔵APC回路により光出力を安定化
  • Wide operating voltage(広い電源範囲)での安定動作
  • Voltage-driven(電圧入力型インターフェース)により扱いやすい駆動特性

これらは、外部の高精度電流制御型LDドライバを用いずとも安定出力を得られるという利点を示しています。


2. ARIMA製品の技術的価値

(1)Voltage-Driven LD(電圧駆動レーザー)

通常のレーザーダイオードは電流源駆動が基本ですが、ARIMAは「Voltage Driven」というキーワードを前面に掲げています。
これは、APCとPDを内部で完結させることにより、外部の電流制御回路を簡素化できることを意味しています。

(2)High ESD Protection(高いESD耐性)

「High ESD protection」により、組み込み機器や量産ラインでの取り扱いにおいて安全性と信頼性が向上します。

(3)Small Form Factor(回路内臓を考慮したコンパクトなTO-CANパッケージでのAPC内蔵)

ARIMAのAPC回路内臓LDは、制御回路まで含めて安定動作させるため、TO-33(Hermetic)パッケージを採用しています。制御安定性、安全性、放熱余裕を優先した、医療や産業向けに対応しています。

*APC対応(外付け)・・・①小型用途:φ3.8 mm(TO-38 hermetic)、②汎用・中~高出力:φ5.6 mm(TO-56 hermetic)


3. APC内蔵LDを採用するメリット

① レーザー出力が安定し、温度や電源変動の影響が小さい

内蔵PDで光出力を直接監視するため、周囲温度の変化や電源電圧の揺らぎに対しても自動的に出力が補正されます、これは、ARIMA製品の「built-in PD」「APC control」に紐づくメリットです。

② 外付け回路が簡素化でき、設計の自由度が高まる

Voltage-Drivenモデルでは、一般的なLDドライバほど厳密な電流源が必要なく、簡易な電源回路で駆動できます。これは、組込み系の小型装置やスペースが限られた光学モジュールにおいて特に重要です。

③ 安定した光源が求められる長時間動作に向く

APCにより「光量の長期ドリフト」が抑えられるため、

  • 産業用センサ
  • 搬送装置
  • 計測機器
    などで安定した検出精度を維持しやすい。

④ 高いESD耐性により装置信頼性が向上

公式仕様にある「High ESD protection」は、量産ラインや組立現場での破損リスクを減らし、装置寿命にも寄与します。


4. APC内臓LDの用途:どんな場面に向いているか

ARIMAが公開している製品ラインナップと一般的な適用例として、以下の用途が考えられます。

1. 3Dセンシング・距離計測(ToF / Triangulation)

安定した光出力はSN比や距離精度に直結する。特に屋外環境での温度変化に強い点は、APC内蔵LDのメリットと合致します。

2. マシンビジョン・ラインセンサー光源

工場内のライン照明や検査光源は「長時間一定の光量」が要求される。APC搭載LDは校正頻度を下げられます。

3. バーコードリーダー・スキャナー

光出力の揺らぎは読み取り精度に影響するため、APCは適しています。

4. 医療・ライフサイエンスの小型光源

小型パッケージでAPC内蔵という点は、内視鏡、蛍光検出などの光学ユニットと相性が良い。

5. 計測機器全般(光パワーセンサー、位置検出装置など)

長期安定性が求められる計測用途でも利点が大きい。


5. 市場ニーズの観点:なぜAPC内蔵が評価されているのか

ARIMAの製品仕様は、以下の市場ニーズと強く結びついています。

小型光学モジュールの需要増

スマートデバイス、IoT機器、FA装置などでは、

  • 小型化
  • 信頼性
  • 放熱設計の容易さが求められ、Voltage-driven + APC内蔵LDはこの流れに合致しています。

温度変動を受ける環境での安定光源ニーズ

屋外ロボット、物流、測距センサーでは、温度−20~60℃の変動が日常的。APCによる安定化は性能維持に重要です。

生産性と部品点数削減の要求

外付けドライバを簡素化できることは、メーカーにとって大きなコスト・メリットです。これら「built-in APC」「small package」「voltage-driven」と整合する市場背景です。

6. まとめ ― ARIMA APCレーザーダイオードが持つ確かな価値

APCレーザーダイオードの価値は次の4点に集約されます。

① Built-in PD & APC による光出力の安定化

温度・電源変動下でも光量が一定に保たれる。

② Voltage-Driven の採用で外付けドライバが簡素化

省スペース設計や低コスト化に貢献。

③ 高いESD耐性を含む信頼性設計

産業用途や量産現場で扱いやすい。

④ 小型パッケージでもAPC内蔵が可能

組み込み機器や小型光学モジュールに最適。

Arima Lasers Corporation(台湾)×AYASEの「技術連携によるサポート」

ARIMA Lasers Corporation(台湾)は、エピタキシャル成長からチッププロセス、パッケージング、検査まで自社一貫で行う垂直型メーカーであり、産業用途・医療用途などに求められる高い信頼性と安定供給を特徴としてます。 

弊社は、Arima Lasers Corporationのレーザーダイオードおよびレーザーモジュールを、日本国内向け*に提供しています。これまで長きに渡り日本における主力代理店として綿密な技術連携を続けてきました。ARIMA社の幅広い製品ラインナップにおいて、お客様の用途に合わせた選定やご提案をさせていただいております。お気軽にお問合せページよりご相談ください。

*アメリカは、Ayase Americaが代理店として対応しています。