光を均す技術 ― トップハットビームシェイパーの歩み

レーザーの光は、美しいほど正確です。しかしその中心だけが強く、周辺が弱い「ガウシアン分布」のままでは、加工や検査の精度にムラが生じてしまいます。そこで生まれたのが、光の強度を均一に整えるトップハットビームシェイパーという技術です。

1970年代、光学レンズを組み合わせてビーム形状を変える試みが始まりました。1990年代になると、光の位相をコントロールするDOE(回折光学素子)が登場し、光を自在に操る時代が開かれます。けれども、DOEは波長や温度に影響を受けやすく、高出力レーザーには不向きでした。

2000年代に入り、耐久性と精度を両立するために石英素材の屈折型ビームシェイパーが進化します。これにより、産業用レーザーや微細加工の現場で、より安定した照射が可能になりました。

そして今、AI設計とナノ加工が融合し、用途に合わせたカスタム設計が現実のものに。彩世(AYASE)でも、独自の石英光学技術で、DOEとは異なる高耐久・高精度なトップハットビームシェイパーを開発しています。

光を均す技術の歩みは、ものづくりの精度を極める挑戦の歴史でもあります。その光はこれからも、産業と未来を静かに照らし続けるでしょう。